マルチスポーツの効用 日本サッカー協会講習会より
- Saka
- 8月25日
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先日,マルチスポーツ(複数の競技を経験すること)に関する日本サッカー協会主催の講習がありました.「ジュニア期におけるマルチスポーツの効用」というテーマです. マルチスポーツというのは,幼少期から一つの種目に特化してスポーツを行うよりも,複数の種目をする方が,将来的にスポーツ選手として良い効果が出るのではということで,以前にも論文等を紹介したテーマです. https://atleticonagao.wixsite.com/atleticonagao/single-post/幼少期からの専門競技への危惧とマルチスポーツの有用性
日本では,一つのことを続けることが推奨されます.複数のスポーツをやることや,していたスポーツをやめて別のスポーツをやると「投げ出した」「根気がない」というようにネガティブに表現されることも少なくありません.
「自分がやるっていったんでしょ?」
そんな言葉が聞こえてきそうです.

さて,アメリカヤカナダをはじめ,多くの国ではシーズン制が取られていることをご存知でしょうか?
アメリカでは1年を3シーズンに分け,それぞれの期で異なるスポーツを行う.春は野球,秋はアメリカンフットボール,冬はバスケットボールという感じです.ですので,メジャーリーグとアメリカンフットボールの両方でドラフト1位にかかる選手が出てくる.
ちなみに,大学のアメリカンフットボール部が選手をスカウティングするのに,「今はアメフトの時期じゃないから野球の試合を見にいくんだ」なんていう話も聞きます(アメフトの時期以外に接触すると罰則が課せられるので・・・).
マイケルジョーダンがバスケットボールを引退後にメジャーリーグに挑戦したのも,こういう背景があってのことでした(右写真).
ニュージーランドは,ラグビーの
オールブラックスで有名な国ですが,夏の半年間はラグビーゴールが撤去されて,ラグビーはできないことになっていて,みんな他のスポーツをするしかない.そういう仕組みなっています. そしてニュージーランドは国民一人当たりのオリンピックメダル数は世界一(人口が少ないのにメダルをとっているということ)というのも驚きでした. カナダでは,9歳までは一つのスポーツに特化しないこと,12歳までは3日間同じスポーツをしたら,後の3日は他のスポーツをすることが政策的に進められています.
ヨーロッパではサッカー日本代表の久保建英選手の所属するレアルソシエダがあるスペインのバスク地方では,12歳以下は,競技スポーツが禁止され,複数のスポーツをすることが定められているというのも驚きです.
さて,マルチスポーツを経験した選手の方が,「生涯にわたってスポーツに関わる」「ドロップアウト・バーンアウトが少ない」ということを以前のブログで書きましたが,その理由にも言及されていました.
それは大きくなって「自分がなぜそのスポーツをしているのか?」という理由が明確であるということらしいです.
つまり,いろんなスポーツの中から「サッカー」を選んだという理由があるということ.
そしてその「自分で決めた」ということが,スポーツを続ける原動力になるのではないか?ということ・・・ ホッケーで,日本一になった彼も,サッカーでも上手い選手でしたが,中学に入るときに「僕はホッケーをやります!」と明確に宣言したことを覚えています. https://atleticonagao.wixsite.com/atleticonagao/single-post/ob情報-「日本一になりました」
自分の行動を自分で決められるという「自己決定」は,人生において「幸福度」が増すと言われていて,非常に大切な行為です. 決定するための「選択肢」を与えることが大人ができることなんではないかと,改めて思った次第です.
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